第3章~嘘のレベル~
子どもの頃に何度か嘘をついた。
親や先生から叱られるのを回避するために、
子どもなりに考え付いた策、知恵に過ぎない。
母親から「朝ごはんを残さずに食べないと学校に行かせない」と
言われれば、どうしますか?
大体の子どもは泣きながら食べるか、残して叱られるかだ。
しかし、「食べたフリ」をすることも選択肢としてもっていた。
それは・・・
団地の4階のベランダから、
ピザトースト風の食パンを槍投げのように全力で飛ばすことだ。
幼少期は団地暮らしでエレベーターもない4階で暮らしていた。
この「4階」と「ベランダ」が絶妙なアシストとなり、
早朝の食パン戦争から解放宣言が出された感じがした。
しかし、この戦いは「食パンをただ投げ捨てて」全てが終わる訳ではない。
それは・・・
絶妙なレベルで嘘を繰り返しているうちに、「自然界と調和」する事になった。
ある日、いつもの海が見えるベランダを眺めていると、
数本の電信柱に「鳥たち」が群がっていた。
鳥たちはベランダを睨んでいて、何度も目が合い、
あっ。「食パンを欲している」。
そのとき初めて「小さな嘘」が肯定された瞬間だった。
「嘘が嘘で亡くなった」そう思うしかなかった。
しかし、この経験が大きな嘘や嘘のレベルが上がっていくことを
その時は気づきもしなかった。
心から野鳥たちに感謝の意を捧げる。
2024年11月1日
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